1. 歳入局の告示
タイ歳入局が2023年9月15日に告示した「歳入局命令 Por. 161/2566」により、タイ国内居住者の国外での所得に対する課税基準が変更されました。変更の内容は以下のとおりです。
2. 変更前と変更後の違い
従来の基準では、国外で得られた所得はその所得が発生した年度と同年内にタイへ持ち込まれた場合のみ課税対象とされていました。しかし2024年1月1日以降に適用される新たな基準では、タイへの持ち込みの年度を問わず国外での所得はタイに持ち込んだ年度の課税対象となります。
3. 課税対象者
タイ国内に180日以上居住する課税年度に国外源泉所得がある者。かつ、
当該課税年度またはそれ以後の課税年度にタイ国内へ当該所得を持ち込んだ者。
4. 国外源泉所得の範囲
歳入法典第40条(1)〜(8)に定められているすべての所得。
(1)給与、賃金、手当、賞与、年金等 (2)請負等からの収入等 (3)のれん代、著作権料等 (4)利息、配当、利益分配金、仮想通貨の譲渡益、企業合併等から生じる利益、株式譲渡益等 (5)賃料収入、割賦販売契約等の違約金等 (6)専門家の所得 (7)請負から生じる所得 (8)事業、商業、農業、工業等からの所得
例外:相続税や贈与税の非課税枠など、免税措置が適用されるものは除く
5. タイ国内に180日以上居住した課税年度に生じた国外源泉所得の扱い
2023年以前の国外源泉所得を2024年にタイ国内に持ち込む場合:
2024年の課税所得として2025年3月末までに税務申告する。
2023年に生じた国外源泉所得を2023年内にタイ国内に持ち込む場合:
2023年の課税所得として2024年3月末までに税務申告する。
6.タイに180日未満居住の課税年度に生じた国外源泉所得をタイ国内に持ち込む場合
納税義務はなし。
7. 二重課税の回避
タイ国内居住者であった課税年度に生じた国外源泉所得についてすでに国外で所得税を納税している場合、タイと当該国間の租税条約に基づき、タイ国内に持ち込んだ課税年度に国外で納付した税額をタイで支払うべき所得税から控除することが可能です。
(参照条文の非公式邦訳)
「歳入局命令 Por. 161/2566」
第1条 歳入法典第41条第3項に定めるタイ国内居住者は、当該課税年度において歳入法典第41条第2項に定める国外での就労もしくは事業、または国外にある財産により第40条に定める課税所得があり、かついずれかの課税年度に当該所得をタイ国内に持ち込んだ場合、歳入法典第48条に基づいて当該所得をタイ国内に持ち込んだ課税年度の課税所得に算入しなければならない。 第2条 本命令に反するすべての規則、規定、命令、相談回答文書、手続きは廃止する。 第3条 本命令は2024年1月1日以降にタイ国内に持ち込んだ課税所得に適用する。
出典:https://www.rd.go.th/fileadmin/user_upload/kormor/newlaw/dn161A.pdf
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