クライアント業種:貿易商社
期間:1か月超
1.経緯
クライアントは日本に拠点を置く貿易商社です。
クライアントが欧州で買い付けた冷凍食品をタイのローカル卸売会社(得意先)に納品しました。
納品から約1ヶ月半後に、クライアントは得意先から「納品された商品がサンプル検査において瑕疵(土壌菌汚染)が発見された」と連絡を受け、また、「問題解決のアイデアを知らせてほしい。こちら(得意先)でも瑕疵を除去できる可能性のある対策を行う」と連絡を受けました。
本取引に関しては、売買契約書には品質に関する条項は存在していたものの瑕疵が発生した場合の取り決めはされていませんでした。
クライアントは得意先が行っていた瑕疵を除去できる可能性のある対策の進展を得意先の担当者に連絡を取りながら待っていたところ、瑕疵発見の連絡から半年後、得意先から一部損害補償金を支払うよう連絡を受けました。
クライアントはこの要求を拒否し損害補償金の根拠を得意先に質問していたところ、その更に4ヶ月後には損害補償金の要求から該当商品の全部返品および全額返金要求(契約破棄)に変わり、弊社にご相談をいただきました。
2.弊社への相談
ご相談をいただいた弊社は、クライアントとメールおよびオンライン会議を重ね、事実状況の把握、タイ国民商法典および国際法の視点からの状況判断、起こりうる裁判を見据えた今後のシミュレーション、先方との交渉方法に向けてのアドバイスをいたしました。
今回のケースでは、タイの瑕疵担保責任に関する条文であるタイ国民商法典第472条「売買の目的物が滅失し、減価した、または通常の使用における、あるいは契約上の利益における適合性が低下した場合、売主が責に任じる。本条の内容は、売主が滅失を知っていたときにも、知らなかったときにも適用する。」により、裁判の際にはクライアントの責任を認定される可能性も高い案件でしたが、先方が訴訟を提訴できる法的期限も迫っており、いくつかの選択肢や交渉の余地がありました。
3. 結果
訴訟リスクが低いことを踏まえ強気の姿勢で戦う選択肢もありましたが、クライアントは今後の先方との関係性やタイでのレピュテーションリスクも考え、最悪の結果となる当該商品の全部返品および全額返金要求(契約破棄)を回避し、クライアントが応じることのできる損害補償金の限界額を提示しての示談締結を選びました。
弊社は英文示談書ならびに先方への説明文書を作成し、交渉の結果、クローズすることができました。
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