クライアント業種:化学品製造業
期間:スポット(1ヶ月超)
概要
日本のクライアントからベトナムの現地製造子会社の内部統制監査についてご依頼をいただきました。
対象会社は設立から10年以上が経ち、法定監査以外に外部専門家を活用しての本格的な内部監査を実施したことがなかったので、購買業務、従業員仮払・立替金精算、現預金出納業務を中心に内部統制制度に違反する重要な取引がないかどうかを調査することになりました。
内容
以下の手順で業務を遂行しました。
1.キックオフミーティングを行い、現時点で日・ベトナム経営責任者が抱える問題点の共有
2.予備調査に関する資料依頼、入手資料の事前分析・質問の準備
3.現地を実際に訪問しての内部統制監査の予備調査実施
4.予備調査で把握した現地法人の概況報告および監査手続きの立案
5.本調査に関する資料依頼、入手資料の事前分析・質問の準備
7.外部証憑入手のため取引先に対する取引内容確認書送付・回収
6.現地訪問による内部統制本調査の実施
7.報告書提出・報告会実施
8.指摘事項に関する現地スタッフへのフォローアップ
主な指摘内容
・棚卸資産のアイテム番号に明確なルールがない。属性ごとに比較しやすいように工夫し、異常増減をモニタリングしやすいデータ作成が望ましい。
・海外出張中の旅費交通費、交際費、その他経費(パソコン購入など)に関する証憑入手のルールが明確ではなく、損金否認されるリスクがあった。
・相見積の検討:
原材料に関しては相見積またはその検討がされているものの、経費に関しては、長年特定の外注先を利用されているケースがいくつか存在した。毎年利用している業者であっても、定期的に市場価格との比較目的で相見積を取得することが望ましいと考える。
・特定の従業員への多額の仮払い:
工場消耗品の購入など、ベトナムでは現金購買の方が良い条件で取引できるケースがある。そのため毎月多額の現金を特定の従業員へ仮払いし、月末に精算という仕組みがあった。この慣習を変更することは現実に即していないものの、①購買品目リストの事前申請、②購買申請者と実際に買い出しに行く従業員の分掌、③精算時において事前申請のリストと実際購買リストの比較検証をすることで、不正リスクを低減することとした。
・不効率なプロセス:
購買プロセスにおいて取引先から入手したインボイスの情報を、複数回マニュアルで入力していることが分かった。在庫管理、会計計上、原価計算、支払申請、など目的は異なるものの、入力の手間とデータ間の整合性の確認の時間が非効率なので、会計計上した情報を正として他の目的に転用するようワークフローを見直すべきと提案した。また会計データをエクセルに落とし原価計算ができるような仕組みを提案した。
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