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タイ 従業員の経費精算不正の対応に関するご相談 


クライアント業種:化学品製造業

期間:スポット(1ヶ月以内)


【概要】

 クライアントは、従業員の福利厚生として医療保険へ加入しており、加えて医療保険ではカバーされない歯科治療費に関して毎年一定金額までを会社負担とできる旨を就業規則で定めておりました。

 今期において従業員Aさんが歯科治療費について経費申請をされた際、金額がほぼ会社負担額満額に近かったため、経費精算担当者が過去に遡って申請書・治療証明書を精査したところ、直近6年に毎年ほぼ満額の申請および延べ66本の歯を同一のクリニックで治療されておられたことが判明しました。この従業員Aさんへの対応および処遇に関してご相談をいただきました。


【対応】

1.調査委員会の設置

経費精算の問題は、Aさんだけではなく従業員全体へどのような影響を及ぼすかも考慮に入れる必要があります。そのため、公正にAさんに弁明の機会を与えるため、従業員の代表者も参加する調査委員会を設置することを提案しました。また調査委員会に先駆け、同地区における歯科治療費の相場、およびAさんの年齢の方が一般的にこれだけの治療をする可能性の有無のセカンドオピニオンの入手など、Aさんの不正の可能性を補足するための情報収集をお願いしました。


2.調査委員会のシュミレーション

調査委員会において会社としてAさんへ主張する論点の整理、およびAさんが会社の主張を認めた場合、認めなかった場合の対応、その後に他の従業員への説明に関してシュミレーションを相談しました。

悩ましいのは、もしAさんが不正はないと言い切り、かつ会社が求める第三の医療機関における再診を断った場合、治療証明書という外部証憑が存在することから、会社としてはその不正を確実に証明する手段がないことです。しかしその場合でも、少なくとも以下の2点に関しては主張することができると助言いたしました。

①会社として不正を疑うに足る行為をしたことについて就業規則に沿って口頭注意を行い、それを記録として残す。

②次回の歯科治療に関して経費精算を希望する場合は、会社の指定するクリニックで診療してもらう。


3.今後の防止策の検討

このような出来事を防止するため以下の提案を行いました。

①医療保険に関し歯科治療費を含むプランへの変更

②会社が指定するクリニックの選定

③経費精算のフォーマットに、会社が必要とする場合、治療内容について直接クリニックへ問い合わせることに同意する旨の記載を追加

加えて、そもそも会社が福利厚生として医療費を負担する意図を従業員全員へ改めて説明し、社会人としてのモラルを再認識してもらうことが必要と助言いたしました。


【考察】

会社が認めた福利厚生をその意図を組まず限界まで利用しようとする人は少なからず存在します。

架空だから問題というだけでなく、その福利厚生の意図を理解しないところは、制度の網を狭めて解決できるものではなく、まずは社会人としてのモラル教育が必要です。

その上で承認者が公正で適切な懐疑心をもって確認するという仕組みがあるべきと考えます。


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