タイにおけるビジネス活動を展開する日系企業にとって、税務調査や関連する罰則は非常に重要なポイントとなります。
今回はクライアントから税務調査に関する時効や、税務申告における誤りがあった場合の罰則について質問をいただきましたので、下記のように回答しました。
1. 税務調査の時効
タイの税務調査は、申告から2年以内、また、脱税の意図が疑われる十分な証拠がある場合には5年以内に行う権限を持っています(歳入法典第19条)。
しかし、民商法典第193/31(46)条では、国税の賦課決定権の消滅時効は10年と明記されています。
2. 過少申告や無申告に対する罰則
不正確な申告(過少申告)または申告を怠った(無申告)場合、税務署の査定官吏(Assessment Officer)の決定により、加算税が課されます。具体的には、過少申告の場合は未納付額の100%、無申告の場合は未納付額の200%となります。
納税者が加算税の減額を文書で申請し、当該納税者に脱税の意図がなく税務調査に協力的であると査定官吏に判断された場合、加算税は最高で50%まで減額されることもあります。
3. 悪質な脱税に対する罰則
悪質な脱税については、脱税者や脱税に加担した者には3年以上7年以下の懲役又は2千バーツ以上20万バーツ以下の罰金の刑事罰が科される可能性があります(歳入法典第37条)。
歳入局長(地方の場合は県知事や税務署長)は、強制調査・押収・差押えのための令状を発行する権限を持っています。
歳入局内の中央調査部局内には「刑事訴訟税務執行課」という組織が存在し、架空インボイスの発行や不正還付などの付加価値税に関連する不正行為を中心とした悪質な脱税者への調査や刑事訴訟手続きを行っています。